ヒトがアルツハイマーを発症する鍵を握っているアミロイドβは、睡眠中に脳内から排出される特徴を持っていると言われている。つまり、良質な睡眠が認知症を予防すると考えられ、逆の視点から表現すると、睡眠の質が悪いと認知症のリスクが上がると考えられるのだ。そして、認知機能不全の犬を飼っているオーナーの中には、愛犬の睡眠障害を訴えるヒトが存在しているという事実がある。
冒頭のような背景の中、世界の大学および研究所らは、高齢犬28匹を対象にして認知機能不全のスコアを評価するとともに、彼らが昼寝(午後の2時間)をしている時の睡眠に関するポリグラフを記録する研究を行った。すると、スコアが高く、問題解決能力が低下した個体の睡眠時間(ノンレムとレムの双方)が短いことが判明したという。また、より認知機能不全が深刻な個体ほど睡眠がより浅くなることも分かったとのことである。
上記のことから、睡眠の質と犬の認知機能不全の程度は関連していると思われる。よって、今後、高齢犬の睡眠をモニタリングする一般家庭用電子機器の開発が進むとともに、睡眠の質が悪化している犬の眠りをサポート・治療する獣医療が確立され、認知機能不全で苦しむ犬とそのオーナーが減少することを期待している。
参考ページ:
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1151266/full