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イギリスにおける「動物看護師」という職業に対するペットオーナーの認識

投稿者:武井 昭紘

動物看護師(veterinary nurse)。

日本で国家資格として認められる前は、動物病院で働く獣医師以外のスタッフを筆頭に誰でもこの肩書きを使用することができた。つまり、動物看護学に纏わる知識、経験、技術が無くとも動物看護師と名乗れたのだ。しかし、この実情には問題があった。ペットを動物病院へ連れて来たオーナーの前に動物看護師と名乗るものが現れた時、それは起きる。その有りもしない資格に値する知識、経験、技術を持った人物が目の前に居るのだと誤認し、オーナーらは高水準の動物医療が提供されることを信じて疑わなくなるのである。

 

そこで、イギリス動物看護師協会(British Veterinary Nursing Association、BVNA)は、動物看護師という言葉の重さを測るべく、①一般市民および②獣医師を対象にして意識調査を行った。すると、約3ヶ月間(2022年9月26日〜12月31日)で一般市民3900名以上、獣医師8300名以上から回答が得られ、以下に示す事項が明らかになったという。

◆「動物看護師」という職業に対するペットオーナーの認識◆
・②の48%が認定協会に登録されないまま動物看護師という肩書きを使用している人物を知っていた
・①の91%は動物看護師と名乗る人物は資格を有して協会に登録されていると考えていた
・①の92%は動物看護師の資格を有した人物のケアをペットが受けることを重視していた

 

この結果を受け、BVNAはオーナーの意識は当然だと述べる。動物看護師と名乗る以上はその人物が充分な訓練を受けて確固たる資格を持つべきと考えるのは自然なことであると。また、資格を持たない人物が動物看護師と名乗れる現状をオーナーらが知らないことは、信頼および動物福祉に関わる問題だと指摘する。よって、今後、動物看護師の社会的地位について議論され、動物の命を守るための資格、制度、法律が整備されることに期待している。

長い間、動物看護師として働いてきた人たちが確実に資格を取れるシステムが構築されることを願っております。

 

参考ページ:

https://mrcvs.co.uk/en/news/22538/BVNA-releases-‘Protect-the-Title’-survey-results


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