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イングリッシュ・コッカー・スパニエルの健康問題と死因を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

イングリッシュ・コッカー・スパニエル(English Cocker Spaniel、ECS)は、イギリスの家庭で飼育されている一般的な犬の品種である。そのため、彼らの健康問題や死因に関する疫学を把握して、それらのデータを臨床現場で活用することが重要だと言えるのだ、

 

冒頭のような背景の中、ヨーロッパの大学らは、大規模臨床データベースVetCompass™ に登録されており、且つ、2016年にイギリスの一次診療施設を受診したECSを対象にして、彼らの診療記録を解析する研究を行った。すると、10000件以上の症例が集積され、以下に示す事項が明らかになったという。

◆イギリスで飼われるECSの健康問題と死因◆
・年齢は中央値で約4.6歳であった
・成犬の体重は中央値で約15kgであった
・最も一般的な病気は歯周病であった(約21%)
・次いで外耳炎と肥満(約10%)が続いた
・約4%は攻撃性が高かった
・攻撃性はメスよりオスで高かった
・また被毛が二色の個体よりも単色の個体で高かった
・死亡する年齢は中央値で約11.4歳であった
・最も一般的な死因は腫瘍であった(約9%)
・次いで腫瘍関連疾患が続いた(約8%)

 

上記のことから、ECSは、歯周病や肥満(一部の外耳炎も含む)など予防ができる病気になりやすく、性別や毛色が攻撃性に影響を与え、腫瘍が主な死因になることが窺える。よって、若齢の個体を診察する場合は各種病気の予防対策を、条件が一致する個体を診察する場合は躾やトレーニングの重要性を、また、中高齢の個体を診察する場合は定期的な健康診断をオーナーに薦めることが大切だと考えられる。

2005年から2016年までにおいて、ECSの出生率は安定していたとのこたです(VetCompass™に登録された犬全体に対するECSの割合と同等で3%前後)

 

参考ページ:

https://cgejournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40575-023-00128-x


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