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グルココルチコイドを投与された犬が糖尿病を発症するリスクに関する研究

投稿者:武井 昭紘

ある研究によると、プレドニゾロンを1.9 mg/kg/日以上で3週間を超える期間投与された猫の約10%が糖尿病を発症すると報告されている。また、別の研究によると、ステロイド剤を投与された犬は、投与されていない犬の2倍、糖尿病を発症しやすいという。では実際のところ、糖尿病と診断された犬には、どれ程の確率でステロイド剤が投与されているのだろうか。

冒頭のような背景の中、RVCは、大規模臨床データベースVetCompassに登録された3歳齢以上の犬48万匹以上を対象にして、①糖尿病を発症した犬と②その犬と品種が一致している糖尿病ではない犬におけるグルココルチコイドの投与実態を調べる研究を行った。なお、②のデータは、①が糖尿病と診断された日から遡って6週間以内のものが採用されている。すると、②に比べて①では、診断日から6週間以内にグルココルチコイドが投与されている確率が4倍高いことが判明したという。

上記のことから、犬の糖尿病はグルココルチコイドの投与と深く関連していることが窺える。よって、今後、当該疾患を予防する観点からステロイド剤の適正使用について議論され、糖尿病になる犬が減っていくとともに、より安全なステロイド療法が確立されることを期待している。

本研究では、抗生剤の投与と犬の糖尿病の関連性も調べており、診療記録に抗生剤療法が記載されていると糖尿病を発症する確率が低下することも分かっています。

 

参考ページ:

https://bvajournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/vetr.2785


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