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バセット・ハウンドが発症するラフォラ病に対する遺伝子検査を承認したケネルクラブ

投稿者:武井 昭紘

「てんかん」が疑われるような神経症状を呈する稀な遺伝性疾患であるラフォラ病(Lafora disease、LD)は、割合にして0.002%、日本の人口1億2000万人に対して数千人が発症していると推計されている。また、当該疾患は犬の稀な遺伝性疾患としても知られており、常染色体劣性遺伝で、罹患個体は発作(ワイヤーヘアード・ダックスフンドを対象にした研究では70%以上の症例に認められている)、失明、難聴、振戦、認知症などを発症すると言われている。そのため、繁殖計画の段階で病気を予防することが重要だと考えられているのだ。

冒頭のような背景の中、イギリスのケネルクラブは、バセット・ハウンド が通常5歳齢以降で発症するLDに着目して、同品種の登録時にLDに関する遺伝子検査の結果の記載を求めることを発表した。なお、記載内容は3つのパターンで、クリア(原因の遺伝子を持たない)、キャリア(正常な遺伝子と原因の遺伝子両方を持つ)、アフェクテッド(原因の遺伝子を対で持つ)の何れかとなる。

LDの犬には、発作のみならず失明や難聴も起きる。おそらく、いつ始まるか分からない発作はオーナーの精神を蝕み、それまで当たり前だった感覚を失う失明と難聴は犬の精神を擦り減らすだろう。つまり、当該疾患はオーナー、罹患犬、双方のQOLを悪化させるのだ。今回紹介したケネルクラブの発表は、その苦しみを根絶するキッカケになると思われる。よって、近い未来に、バセット・ハウンド が発症する病気のリストからLDが消え去ることを期待している。

LDの犬には、攻撃性の増加、不適切な排便・排尿を認める場合もあるとのことです。

 

参考ページ:

https://mrcvs.co.uk/en/news/22342/DNA-testing-scheme-approved-for-basset-hounds


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