2024年3月7日、日経ビジネスイノベーションフォーラム『犬の皮膚にも〈スキンケア発想〉を』が、東京・銀座にて開催された。
記事によると、このフォーラムは、(株)MTGがアジア獣医皮膚科専門医 伊從慶太氏監修のもと、犬アトピー性皮膚炎に対する最新エビデンスとして、ファインバブルを使った洗浄の有用性を確認、学会発表を行い、獣医皮膚科学の国際学術誌への論文の掲載も決定したことから、開催されたものだという。
「ファインバブル」とは、ナノサイズの気泡「ウルトラファインバブル」とマイクロサイズの気泡「マイクロバブル」の二つの泡を総称したもの。単に小さいだけの泡ではなく、洗浄効果、植物成長促進効果など、様々な特徴を持つことから、幅広い分野で活用されている。
フォーラムでは、犬アトピー性皮膚炎に対するファインバブルの有用性に関する基調講演の他、動物及び人間の皮膚科学のエキスパート3名を招き、「犬とヒトの〈スキンケア〉最新事例」のパネルディスカッションが実施された。
2023年アニコム「家庭どうぶつ白書2023」アニコムホールディングス株式会社よると、「動物病院の来院理由として、皮膚病は消化器疾患に次いで2番目に多く、全体の約25%を占めている(※)」と現状を語るのは、日本獣医皮膚科学会認定医 江角真梨子さん。
江角さんは「皮膚疾患の中でもアトピー性皮膚炎の割合は多く、ハウスダストや花粉がアレルゲンとなっているため、それらを取り除くための洗浄や重要な役割を果たす」とし、「犬においても、シャンプーやクレンジングなどの様々なツールを用いて洗浄することが重要。そのうえで、十分に保湿することも大切」と犬のスキンケアの重要性を説いた。
ほかにも、アジア獣医皮膚科専門医の伊從慶太さんによる基調講演では、「犬アトピー皮膚炎(CAD)に対するファインバブル洗浄の有用性」に関するエビデンスが発表された。
「現在、犬の肌の衛生状態を保つために重要視されている、抗菌薬入りシャンプーは、肌のバリア機能を損傷・耐性菌を生じさせる可能性がある」と従来の対処法の懸念点を提示。
2023年3月に行った実証試験で、アトピー性皮膚炎の症状のある犬17例に対し、低刺激シャンプーによる洗浄群と、ファインバブルシャワーによる洗浄群を分けて実施。症状改善の程度を比較検証した結果、「ファインバブル発生機能を搭載したシャワーを用いた洗浄では、かゆみや肌荒れを抑えながら、皮膚のバリア機能を壊すことなく、アトピー性皮膚炎の症状を改善した」、とその検証結果を語った。
基調講演終了後のパネルディスカッションでは、東京女子医科大学名誉教授 川島眞さんが加わり、犬とヒトにおける〈スキンケア〉の重要性や、ファインバブルの有用性について議論が行われた。 川島さんと江角さんは、犬とヒトのアトピー性皮膚炎が起こる要因や治療法の類似点を示し、「過剰な洗浄は炎症を悪化させることになる」と過剰な洗浄への注意を促された。
また、伊從さんは、ファインバブルの「優しく効率的に洗える」というメリットに言及。「今後ファインバブルが動物病院を中心に広く普及することで、犬のアトピーを始め、それ以外の皮膚疾患におけるファインバブルの活用法が議論される未来に期待したい」と熱い想いを語った。
https://fujinkoron.jp/articles/-/11609
<2024/03/31 婦人公論.jp>