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重篤な病気でICUに入院した犬の好中球リンパ球比および血小板リンパ球比

投稿者:武井 昭紘

子犬の急性下痢犬の多発性骨髄腫猫の注射部位肉腫。様々な疾患の予後を判定する指標として、好中球とリンパ球の比(neutrophil-to-lymphocyte ratio、NLR)が活用されている。そのため、このNLRを用いた予後判定法に注目が集まっており、今でもなお、多様な視点から研究がおこなわれているのである。

 

冒頭のような背景の中、アメリカの獣医科大学らは、大学附属動物病院のICUに入院した犬70匹以上の予後に着目して、NLR、そして、同じく予後判定の指標として有望な血小板とリンパ球の比(platelet-to-lymphocyte ratio、PLR)の有用性を検証する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆重篤な病気でICUに入院した犬のNLRおよびPLR◆
・母集団は①腫瘍性疾患、②感染症、③敗血症、④重度の出血に分類された
・③を除く疾患で死亡した症例のPLRは生存した症例のそれよりも有意に高かった
・PLRの変動は④に属する症例の入院期間を予期した
・重症度のスコア(APPLEスコア)とNLRは正の相関、PLRは負の相関をしていた

 

上記のことから、NLRおよびPLRは、重篤な病気でICUに入院した犬の予後を判定する有用なマーカーになり得ることが窺える。よって、今後、③の予後を判定するマーカーの開発、NLRまたはPLRを改善することでの予後の変化の追究に関する研究が計画され、ICUから無事に退院する犬が1匹でも多く増えることを願っている。

APPLEスコアにつきましては、リンク先のページをご参照下さい。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36573635/


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