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生の肉類を給餌されている犬の糞便から検出された薬剤耐性菌

投稿者:武井 昭紘

犬猫に生肉を与えること。それは加熱によって細菌を滅することができないことと同意で、彼らも勿論のこと、そのオーナーも「感染症学的に危険な状態」に置かれることを意味している。では実際のところ、どのような危険を孕んでいるのだろうか。詳細に分析し、対策を検討することが重要である。

 

冒頭のような背景の中、ブリストル大学は、①都市部および②郊外(都市部から30km圏内)で暮らす犬の糞便を対象にして、そこから第3世代セファロスポリンに耐性を有する大腸菌を検出する研究を行った。また、それを牛やヒトから分離された株と比較したとのことである。すると、600匹分の糞便サンプルが採取され、以下に示す事項が明らかになったという。

◆生の肉類を給餌されている犬の糞便から検出された薬剤耐性菌◆
・①の約10%、②の約6%から耐性菌が検出された
・最も優勢な耐性菌はヒトから検出されるβラクタマーゼ(CMY-2)産生大腸菌の25%を占めていた
・牧場地域または牛で一般的な薬剤耐性大腸菌が②の犬からも検出された
・生肉の給餌は②の犬から耐性菌が検出されることに関連していた
・①の犬から耐性菌が検出されることは川で泳ぐことと関連していた

 

上記のことから、①の犬では川での遊泳が、②の犬では生肉の給与が耐性菌出現のリスクファクターになっていることが窺える。よって、今後、耐性菌が存在している川の特定が進むとともに、郊外で暮らす人々に生肉の危険性を説く啓蒙イベントが開催されることを期待している。また、生肉を与えたくなるヒトの心理が詳細に分析され、耐性菌の出現リスクが少ない犬の飼育環境を実現するヒントが得られることを願っている。

大学は、検出された大腸菌はズーノーシスを起こす病原体として重要だと述べています。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35858661/


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