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椎骨心臓総計法よりも犬の心臓のサイズを正確に定量化するThoracic Inlet Heart Size

投稿者:武井 昭紘

犬の心臓のサイズを測定する椎骨心臓総計法(Vertebral Heart Size、VHS)は、品種、体格、脊椎の奇形、測定者などの要因によって変動し、数値に安定性を欠くことが知られている。そのため、様々な要因に左右されない測定法の考案が望まれているのだ。

 

冒頭のような背景の中、スペインの大学および動物病院らは、胸郭前口の長さを用いて心臓のサイズを正規化するThoracic Inlet Heart Size(TIHS)という測定法によって、臨床上健康な犬140匹以上の心臓を評価する研究を行った。なお、TIHSに使用する測定値は、①胸郭前口の長さ、心臓の②長軸および③短軸(VHSと同様に計測)であり、その数値は②+③/①で算出されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆Thoracic Inlet Heart Size◆
・平均の数値は2.86±0.27であった
・90%の犬のTIHSは3.25未満であった
・性別および体格での差異は認められなかった

 

上記のことから、TIHSは品種を越えて数値が安定していることが窺える。よって、今後、品種を可能な限り増やして大規模な研究が進められ、同測定法の有用性が検証されていくとともに、測定者によって②と③の値に差異が現れないようにする方法が模索され、TIHSの精度が向上することに期待している。

研究には、ヨークシャーテリア、チワワ、ラブラドールレトリバー、フレンチブルドッグが参加しております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36766278/


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