ストレスを軽減すること。
それは、猫の診察を進めるにあたって大変に重要なことである。では、如何にして、彼らのストレスをコントロールするのか。様々な視点から検証をし、有効な手段を突き詰めることが獣医学の課題と言える。
冒頭のような背景の中、ブラジルの大学らは入院中の猫を対象にして、音楽のストレス軽減効果を調べる研究を行った。なお、同研究では、猫たちを①音楽を聞かせないコントール群と②聞かせる群に分けて、両群の呼吸数、唾液中コルチゾール濃度、行動、ストレススコアを比較している（入院期間31時間の中で特定の5つの時間帯で計測）。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆入院している猫のストレスを軽減する音楽◆
・①よりも②の猫は有意に落ち着いていた（一番最初の時間帯）
・有意差は無いものの呼吸数は②の猫でのみ減少した（全ての時間帯）
・コルチゾールとストレススコアに関連性を見出せなかった
上記のことから、音楽は入院中の猫に何らかの影響を与えていることが窺える。しかし一方で、ストレスを軽減するとまでは判断できないことも分かる。よって、今後、各評価項目の統計学的処理の精度を高めるべく、本研究を大規模化して再検証が行われることに期待している。そして、入院という不慣れな環境でストレスを募らせる猫の負担を減らす方法が考案されることを願っている。
音楽のジャンルはクラシックだとのことです。
参考ページ：
https://journals.sagepub.com/doi/epdf/10.1177/1098612X211066484#aafp
