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「てんかん」と診断され発作を起こすボクサーの発症要因を分類した研究

投稿者:武井 昭紘

犬が「てんかん」と診断された時、それは2つに大別できる。①特発性てんかんと②構造的てんかんだ。しかし、特定の犬種における①と②の有病率は詳しく分かっていない場合がある。しかし、かたや原因不明(①)、かたや原因を明確にできることを考慮すると、それぞれの有病率を把握し、そのデータを臨床現場で活かすことは大変に重要だと考えられるのだ。

 

そこで、イタリアの大学および動物病院らは、ある高次診療施設を訪れて「てんかん」と診断されたボクサー70匹以上を対象にして、彼らの診療記録を解析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆「てんかん」と診断され発作を起こすボクサーの発症要因◆
・約7%(5匹)が特発性てんかんと診断された
・そのうち1匹が6ヶ月未満、3匹が6ヶ月以上6歳齢未満、1匹が6歳齢以上であった
・93%以上(69匹)が構造的てんかんと診断された
・そのうち95%以上(66匹)が頭蓋内の腫瘍を疑われた(8匹は6ヶ月~6歳齢未満、58匹は6歳齢以上)
・頭蓋内の腫瘍を疑われた症例の約23%では神経学的検査に異常が認められなかった

 

上記のことから、「てんかん」と診断されたボクサーの大部分が構造的てんかんであることが窺える。よって、当該品種の「てんかん」を診察する場合は、頭部MRI検査を必ず検討する必要があると言える。また、その検討は、症例の年齢で「若いから不要」と判断するこはが危険だとも言えるのではないだろうか。

頭蓋内腫瘍が疑われた症例のうち、80%以上が脳実質における腫瘍の発生であったとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.956648/full


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