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椎間板ヘルニアに対する外科手術を受けた4歳齢の犬に起きた呼吸トラブル

投稿者:武井 昭紘

4歳齢、不妊メスの犬が歩行困難となる程の四肢麻痺を呈して、救急外来を訪れた。CT検査にて頚椎の椎間板ヘルニア、位置にしてC5-6、C6-7に病変があるようだった。緊急の手術が行われる。これで経過は良くなる。そう思われた矢先、彼女は呼吸不全に陥り、人工呼吸器が手離せない状態となってしまった。彼女の身に何が起きたのだろうか。

MRI検査に進む。脊髄軟化症が疑われる所見であった。しかも進行性。次第に病状が悪化していく彼女の様子を鑑みて、安楽死の処置が取られた。剖検で脊髄を詳しく観察する。MRI検査の所見を裏付けるかの如く、脊髄軟化症の存在が示された。

症例発表を行ったアメリカの大学およびカナダの動物病院らによると、頚椎の椎間板ヘルニアに続発する脊髄軟化症を起こした犬の報告は世界で初めてだという。果たして、彼女の他にも同様の病態で死亡、あるいは、安楽死に至った症例は存在しているのだろうか。存在しているとすれば、脊髄軟化症が発生する原因(キッカケ)は何であったのだろうか。今後、頚椎の椎間板ヘルニアを抱える犬における脊髄軟化症の有病率を算出する研究が進められ、治療法ないしは予後判定法が確立されることに期待している。

ヘルニアに対する術式は、腹側減圧術だったとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1122566/full


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