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慢性腎臓病の猫の予後を判定するマーカーの有用性を評価した研究

投稿者:武井 昭紘

慢性腎臓病(Chronic kidney disease、CKD)は、高齢の猫に良く見られる一般的な泌尿器疾患である。一方、話は変わるが、Bcl-2と呼ばれるタンパク質は、アポトーシスと線維化のプロセスを通して腎臓病の発症に関連していると言われている。

 

そこで、タイのチェンマイ大学は、CKDの猫の予後を判定するマーカーとしてのBcl-2の有用性を検証するべく、①臨床上健康な猫と②CKDの猫の血液中に含まれる、および、腎臓に発現したBcl-2のレベルを調べる研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆CKDの猫の予後を判定するマーカーとしてのBcl-2の有用性◆
・①に比べて②の血液に含まれるBcl-2のレベルは有意に低かった
・血液に含まれるBcl-2のレベルとCKDの重症度は罹患猫の生存期間と関連していた
・血液に含まれるBcl-2のレベルの減少はBUN、CRE、CKDの重症度の上昇と関連していた
・腎臓に発現したBcl-2のレベルは②で減少していた(生存期間の短縮に繋がっていた)

 

上記のことから、Bcl-2は、CKDの猫の予後を判定するマーカーとして有用であると言える。よって、今後、Bcl-2を用いた予後判定法が確立するとともに、Bcl-2の増減をコントロールする治療法が開発され、その効果を検証する研究が計画されることに期待している。

①と②の年齢層は同程度になるように調整されているとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.1043848/full


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