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National Dog Bite Prevention Week~ヒトが犬に咬まれる事故を減らすためのアドバイス~

投稿者:武井 昭紘

アメリカ獣医師会(AVMA)によると、同国全土の世帯の45%が犬を飼育しており、その総計は8800万匹になるという。そして、この飼育頭数の多さもあってか、1年間に450万人(子供が多くを占める)が犬に咬まれる事故を経験しているとのことだ。加えて、2020年においては、犬に咬まれた事故に関する保険金請求が17000件に近く、実に8億5370万ドル、日本円にして約1110億円が支払われたと言われている。しかし、同獣医師会は述べる。『咬傷事故の大部分は防ぐことができる』と。では、どう防ぐのか。それを広く周知することが重要である。

 

冒頭のような背景の中、AVMAは、2023年4月9日~15日に設定された犬に咬まれる事故を減らす啓蒙週間National Dog Bite Prevention Weekに合せて、ヒトが犬に咬まれる事故を減らすためのアドバイスを公表した。それによると、以下に示す事項が大切だという。

◆ヒトが犬に咬まれる事故を減らすためのアドバイス◆
・犬の健康診断の薦め(病気やケガがある犬は攻撃的になることがある)
・犬のトレーニング(躾)が不十分な状態でヒトが多い場所やドッグパークに出掛けない
・必ずリードを付けて外出する(機会があれば他の犬との接触で社交性を学ばせる)
・自分以外のヒトが飼っている犬に近づく時にはオーナーに許可を求めて犬に挨拶をする
・犬が食餌をしている時、寝ている時、子犬の世話をしている時は慎重に近付く
・見知らぬヒト(配達員など)が自宅に近付いてきた時の犬の行動に注意を払う(トレーニングの必要性をチェックする)
・見知らぬヒトに遭遇した時も命令・指示に従うように訓練する
・近年増加傾向にあるオンラインショッピングやフードデリバリーに対する対策を講じる
a.配達員に犬の存在を知らせる標識を用意する
b.配達員が自宅に来る時に犬をクレートや一つの部屋に留める
c.配達の時間を調整する(配達員と相談する)

 

読者の皆様の中に、犬に咬まれた経験をお持ちの方はおられるだろうか。あるいは、犬に咬まれた話を診察中に聞いた動物病院スタッフがおられるだろうか。もし居るならば、前述したアドバイスを参考にして、これから起こるかも知れない咬傷事故を防いで頂けると幸いである。『咬傷事故の大部分は防ぐことができる』のだから。

アメリカでは2020年3月に咬傷事故に関する保険金請求額が増加したようで、AVMAは、その原因を新型コロナウイルスによるパンデミックに伴うロックダウンがヒトと犬のライフスタイルを変えたためだとしています。

 

参考ページ:

https://www.avma.org/events/national-dog-bite-prevention-week

https://www.veterinarypracticenews.com/dog-bite-education-awareness-helps-minimize-surrenders/


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