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可移植性性器肉腫が口や鼻に発生するリスクについて考えた研究

投稿者:武井 昭紘

可移植性性器肉腫(canine transmissible venereal tumour、CTVT)は、交配をした犬の間で伝播する生殖器系の腫瘍として知られている。しかし一方で、口や鼻にCTVTが発生した犬の例が報告されていることも事実で、この現象は犬の「お尻の匂いを嗅ぐ行動」に関連していると考えられてるのだ。では実際のところ、口や鼻にCTVTが発生することに関与したリスクファクターとは何であろうか。それを明らかにすることは、当該疾患を深く理解することに寄与するものと思われる。

そこで、ケンブリッジ大学は、①CTVT症例32件と②過去に報告された犬の例65件のデータを解析する研究を行った。なお、①②いずれも口や鼻にCTVTが原発したケースである。すると、①の84%および②の82%はオスであることが判明したという。また、これを基に算出されたリスクは、「メスよりもオスの方が4~5倍発症しやすい」というものであった。

上記のことから、口や鼻にCTVTが発生した犬の例の大部分はオスであることが分かる。そして、同大学は、この偏りは「舐める行動や嗅ぐ行動の頻度に性差があること」に起因していると訴える。よって、今後、口や鼻にCTVTが発生した症例と健康な犬の行動を比較する研究が進み、前述した仮説が立証され、CTVTの予防法が考案されることに期待している。

口や鼻にCTVTが発生したメスのデータを詳しく分析すると、新たな見解が得られるかも知れません。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35781651/


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