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植物をベースとしたフードを与えられている犬の健康状態を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

現在、獣医療業界は、ベジタリアン、ヴィーガンといった菜食主義者に警戒している。なぜならば、彼らが飼育している犬猫も菜食主義になってしまう可能性があるからだ。つまり、肉食動物に分類される犬猫の健康が害されると考えているのである。では実際のところ、健康は害されるのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、ゲルフ大学は、北米で犬や猫を飼育するオーナーを対象にしてオンラインアンケートを実施する研究を行った。すると、1400件以上の回答が集積され、以下に示す事項が明らかになったという。

◆植物をベースとしたフードを与えられている犬の健康状態◆
・①肉類を与えられた犬よりも②植物をベースとしたフードを与えられた犬の寿命が18ヶ月長かった
・実数にして①の平均寿命は12.6歳、②は14.1歳であった
・「愛犬は肥満状態にある」と回答したオーナーの割合は①で3.4%、②で4.2%であった
・歯科疾患を報告したオーナーの割合に差はなかった(①②とも19%)
・皮膚(①20%、②19%)、内分泌(①2.4%、②1.5%)、消化器(①15%、②7.8%)、神経・眼(①4.3%、②3%)、腎臓(①1.8%、②0%)のトラブルは①で多かった

 

上記のことから、BCS(肥満)を除いて、①よりも②の方が健康的であることが窺える。よって、今後、菜食主義を全面的に否定する姿勢から脱却して、植物をベースとしたフードの再評価を行う研究が進み、犬猫の栄養学が進化することに期待している。そして、末永くペットライフを楽しめるオーナーが増えることを願っている。

BCSの評価は9段階のものが採用されており、世界小動物獣医師会(World Small Animal Veterinary Association、WSAVA)が提唱している犬の体型チャートをランダムに並べ替えた状態でオーナーらに提示したとのことです。

 

参考ページ:

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0034528822001345

https://www.vettimes.co.uk/news/new-study-finds-vegan-diet-dogs-may-live-longer/


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