猫に発生する注射部位肉腫(feline injection site sarcoma、FISS)は、大きくマージンを確保した外科手術が第一に選択される腫瘍性疾患である。しかし、そのマージンの大きさから、そして、罹患猫が術後に受ける疼痛のレベルから、腫瘍を完全に切除できないケースもある。つまり、外科手術以外に同腫瘍を縮小させる治療法が求められているのだ。
冒頭のような背景の中、ジョージア大学は、FISS由来の培養細胞にボルテゾミブという薬剤(抗悪性腫瘍剤)を曝露する研究を行った。なお、同研究では、3種類の細胞株が採用されている。すると、いずれの細胞株にもボルテゾミブ(効果のある量に差異はある)が作用して、ある種のタンパク質を分解する酵素20Sプロテアソームを阻害し、腫瘍細胞のアポトーシスの頻度を増加させること(生きている細胞を減少させること)が判明したという。
上記のことから、ボルテゾミブはFISS由来の培養細胞の増殖を抑制することが窺える。よって、今後、同薬と外科手術の併用療法の有用性が検証され、FISSにおける外科手術の成功率の向上や疼痛レベルの軽減が実現することを期待している。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35524959/