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チェコの保護施設に居る猫の記録と里親が見付かるまでの期間

投稿者:武井 昭紘

動物を保護した施設には最優先事項がある。それは、彼らに適切な生活環境を与えることと、彼らの健康を維持することだ。そして、これらの優先事項の達成の末に、里親を見付けることだ。では、実際の現場では、最優先事項と里親が見付かることに何らかの関連性があるのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、チェコとスロバキアの獣医科大学らは、チェコ共和国のシェルター2ヶ所において、過去8年間(2013年1月~2021年12月)で保護され里親が見付かった猫1800匹以上の記録を解析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆チェコの保護施設に居る猫の記録と里親が見付かるまでの期間◆
・半数を超える猫に1つ以上の健康問題が発生していた
・健康問題の数は生後6ヶ月未満の子猫で最多であった
・抗生剤や駆虫薬が最も使用された薬剤であった
・多く使用された抗生剤はペニシリン、テトラサイクリン、フルオロキノロンであった
・これらの抗生剤は気道疾患や胃腸のトラブルのために処方されていた
・健康問題が無い猫と比べて健康問題を抱える猫のシェルター滞在期間は有意に長かった

 

上記のことから、何らかの健康問題を抱えると、シェルターでの滞在期間が長くなることが分かる。また、その健康問題は抗生剤または駆虫薬を必要とする病気が多く、子猫に偏っていることが窺える。よって、今後、保護施設の負担を軽減するべく、保護猫の療養を目的に預かる治療ボランティアの必要性が議論され、そのボランティアを稼働させるシステムが構築されることに期待している。

研究対象となったシェルター2ヶ所は殺処分ゼロを実現しているとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.1025197/full


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