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犬の分離不安症に対するフェロモン製剤の効果を検証する研究がスタート

投稿者:武井 昭紘

ヒトには感じ取れず特定の動物種のみが認識できるフェロンモンは、彼らに安心を与え、危機を知らせ、仲間や食べ物の存在を示す効果を持っている。そのため、小動物臨床およびペットの飼育において、デリケートな一面を有する猫を安心させる手段としてフェロモン製剤が開発され、流通しているのだ。そこで、疑問が浮かぶ。猫と同様にヒトと親密な犬の不安を同製剤は取り除くことができるのだろうか。

冒頭のような背景の中、イギリスのブリストル大学は、不安に起因する犬の行動に対するフェロモン製剤の効果を検証する研究をスタートした。なお、同研究では、新型コロナウイルスのパンデミックで始まった「おうち時間」と、そのパンデミックへの対処方法が確立された後の「おうち時間の解除」によって悪化したとされる犬の分離不安症が検証の対象となっており、罹患犬が暮らす家屋にディフューザータイプのフェロモン製剤を8週間設置し、2週間ごとに彼らの様子を観察する予定だという。また、研究に参加できる犬の条件は、年齢が18ヶ月以上(1年以上飼育していること)、同居動物が居ないこと、20分間犬を一人にできる部屋があること、不安を和らげるフェロモン製剤やサプリメントを使用していないこと、臨床的に健康であること(向精神薬を処方されていないこと)だとのことである。

果たして、フェロモン製剤は、仕事やプライベートの所用で外出をするオーナーを困らせる犬の分離不安症を軽減することはできるか。研究が一定の成果を上げることを期待するとともに、その成果で愛犬の行動に悩むオーナーが一人でも減ることを願っている。

メスの犬は妊娠していないこと、検証中に妊娠させないことも条件となっています。

 

参考ページ:

https://mrcvs.co.uk/en/news/22340/Canine-separation-anxiety-study-seeks-participants


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