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犬の前立腺肥大と血小板に纏わる測定値との関連性を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

炎症、感染、腫瘍、免疫疾患などで変動する血小板関連の測定値は、病気を抱えた犬や猫の予後を反映するとして注目されている。そのため現在、一つひとつの疾患を取り上げて血小板との関係性を明らかにする研究が盛んなのだ。

冒頭のような背景の中、イランの大学らは、①前立腺肥大(良性)の犬と②健康な犬の血小板に纏わる測定値を比較し、且つ、①における前立腺のサイズと「その測定値」の相関関係を明らかにする研究を行った。なお、同研究での前立腺サイズは、症例ごとの前立腺の容積を予想される容積で割って、相対的な数値(relative prostatic size、Srel)として扱われている。すると、②に比べて①では前立腺サイズが有意に高く、血小板クリットが有意に低いことが判明したという。また、前立腺サイズは血小板数と負の相関関係にあり、血小板数と血小板クリットを用いて前立腺サイズが大きい(Srelが>1)個体を判別する精度はそれぞれ、感度が75%と約88%、特異度が約72%と約64%になることが分かったとのことである。

上記のことから、血小板に纏わる測定値を活用すると、前立腺肥大の診断がスムーズになることが窺える。よって、今後、感度と特異度を向上させる研究が進み、新人獣医師にも理解されやすい「客観的な」前立腺疾患の診断が確立されることに期待している。

①に属する犬は、年齢の中央値が6歳、体重の中央値が8.5kgであったとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.1031292/full


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