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ハイグレードな肥満細胞腫を抱える犬に対するリンパ節郭清の効果を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

皮膚に発生した悪性度の高い肥満細胞腫を抱える犬の予後は悪いとされている。そのため、予後を良好にする、ないしは、生存期間を長くする治療法の確立は常に求められているのだ。そこで、本稿では、リンパ節郭清に着目したヨーロッパの大学および動物病院らの研究を紹介したい。なお、詳細は以下の通りである。

 

◆ハイグレードな肥満細胞腫を抱える犬に対するリンパ節郭清の効果◆
・49匹の犬が対象となった
・全例がリンパ節転移を伴い、原発腫瘍の切除術と補助療法に臨んでいる
・そのうち18匹(①)はリンパ節郭清をされておらず、31匹(②)はリンパ節郭清を受けた
・②に比べて①の病状進行は有意に早かった
・②に比べて①の生存期間は有意に短かった(中央値で①250日、②371日)
・リンパ節郭清をしないことは病状の進行を2倍以上に早め、リンパ節転移のリスクを3倍以上に上げた

 

上記のことから、リンパ節郭清はハイグレードな肥満細胞腫を抱える犬の予後を改善する効果を発揮することが窺える。よって、今後、リンパ節郭清を基本手技とした肥満細胞腫に対する外科手術のガイドラインが作成され、世界各国へ普及することに期待している。

腫瘍のサイズは局所における再発と関連していたとのことです。

 

参考ページ:

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jsap.13525


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