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犬の組織球性肉腫に対する分子診断の技術を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

犬の組織球性肉腫(histiocytic sarcoma、HS)は、形態学的に変化する特徴を持つ悪性腫瘍である。そのため、他の悪性腫瘍との鑑別が難しいと言われている。しかし一方で、①IBA-1、②イオン化カルシウム結合アダプター分子1という2つのタンパク質、および、③CD204と呼ばれるマクロファージスカベンジャー受容体が、このHSを認識するためなの免疫組織化学的なマーカーとされているのだ。つまり、これらを活用すれば、HSと他の悪性腫瘍を見分けることが可能になり得るのである。

そこで、アメリカの獣医科大学らは、症例から採取したHSのサンプル(A)とHS由来の細胞株(B)を対象にして、①~③の発現を調べる研究を行った。なお、同研究において、Aはホルマリン固定された組織である。すると、AとBの両方で①と③の発現が確認されたとのことである。

上記のことから、①および③は、犬のHSを診断するための有用なマーカーになり得ることが窺える。よって、今後、これらのマーカーの商業化が進むとともに、①と③の予後判定マーカーとしての価値が評価されていくことに期待している。

マーカーが陰性になる対照サンプルの中には、犬の独立円形腫瘍、黒色腫、未分化肉腫が含まれていたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35339118/


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