11~12歳の約3割、15~16歳の約7割が発症する犬の認知機能不全(canine cognitive dysfunction、CCD)は、動物病院で比較的良く遭遇する病気であり、且つ、多くのオーナーが直面する動物飼育上の問題である。そのため、当該疾患のリスクファクターを把握することは重要で、そのデータを治療や予防に活用することが理想だと考えられるのだ。
冒頭のような背景の中、コロラド州立大学は、過去3年間(2017年~2020年)に同大学の付属動物病院を訪れた8歳以上の犬のオーナー7500名強を対象にして、CCDに関するアンケートを実施した。すると、母集団の約14%、1000件を超える回答が得られ、以下に示す事項が明らかになったという。
◆CCDを発症するリスクファクター◆
・230匹以上の犬がCCDと判定された
・有病率は17歳以上で最も高く80%であった
・その他8歳~11歳未満で約8%、11歳~13歳未満で約19%、13歳~15歳未満で約45%、15歳~17歳未満で約67%であった
・BCSが低い個体の発症リスクが高かった
・リスクファクターは年齢とBCSであった
上記のことから、年齢もさることながら、BCSの低下もCCDの発症に関与していることが窺える。よって、今後、BCSを標準で維持することがCCDを予防するのかについて探求され、そして、BCSを低下させる疾患とCCDの関連性が検証され、当該疾患の新しい治療法および予防法が確立されることに期待している。
参考ページ:
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.958488/full