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猫の不適切な爪とぎ行動を減少させる有効な戦略を考えた研究

投稿者:武井 昭紘

爪とぎ。それは、オーナーの悩みの種になる可能性がある猫の行動である。特に、家具や日用品が爪とぎのターゲットになった場合、事態は深刻になる。なぜならば、ターゲットはボロボロになり、使い物にならない状態になりかねないからだ。それ故、オーナーは爪とぎを辞めさせたいと考えるのだが、猫の「その行動」は本能あるいは生理的な欲求に基づくものであって、辞めさせることは叶わぬ願いと言って過言ではない。ならば、オーナーにとって不都合な、不適切な爪とぎだけでも抑制することはできないか。そう発想し、北米の大学らが研究を行った。なお、詳細は以下の通りである。

 

◆猫の不適切な爪とぎ行動を減少させる有効な戦略◆
・2400名を超える猫のオーナーが研究に参加した
・その58%が不適切な爪とぎを経験している
・爪とぎができるグッズ(爪とぎ専用の床置きグッズ、麻のロープなど)を用意すると不適切な爪とぎは減少する
・爪とぎポイントを増やすと不適切な爪とぎは減少する
・屋外へのアクセスを可能にすると不適切な爪とぎは減少する
・爪とぎをしても良い物に誘引剤を使用すると不適切な爪とぎは減少する
・爪とぎをして欲しくない物への接触を制限すると不適切な爪とぎは減少する
・猫は7歳以上になると不適切な爪とぎの頻度が減る
・不適切な爪とぎを口頭で注意すると「その頻度」が増える
・不適切な爪とぎを物理的に妨害すると「その頻度」が増える

 

上記のことから、猫の不適切な爪とぎの頻度を減らす、あるいは、増やすファクターというものがあることが窺える。よって、愛猫の不適切な爪とぎを抑制したいと願うオーナーは、これらのファクターに注意して、彼らの行動をコントロールすることが望ましいと思われる。また、猫の爪とぎに関する悩みを打ち明けられた獣医師は、本研究を参考にアドバイスを提供して頂けると幸いである。

研究に参加したオーナーらは、安楽死や抜爪術よりも、不適切な爪とぎを抑える戦略を考えることを優先する傾向にあったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36230292/


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