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犬の認知機能不全の発症リスクを上げるファクターに関する研究

投稿者:武井 昭紘

現代の獣医療の発展を受けてか、高品質のペットフードが流通するようになったからか、ヒトと同じく犬も高齢化している。そのため、ヒトと同じく彼らも認知機能不全(Canine cognitive dysfunction、CCD)を発症し、生活の質を悪化させていくことが目立つようになってきたのだ。では、このCCDを発症しやすい犬の特徴とは一体何であろうか。そして、その特徴から予防法を考案することはできるのだろうか。ヒトと動物の高齢化社会を考える上で、これらを明らかにすることは大変に重要である。

冒頭のような背景の中、ワシントン大学は、Dog Aging Project に参加している犬15000匹のデータを解析する研究を行った。すると、各犬種の寿命から年齢層を4つに区分けした場合、年齢が上がる度に発症リスクが52%上昇することが判明したという。また、活動的な個体に比べて「そうではない」犬は約6.5倍、CCDを発症しやすいことが確認されたとのことである。更に、神経系、眼、耳にトラブル(病歴)を持つ犬の発症リスクも高くなることが分かったという。

上記のことから、加齢、活動性、各種疾患がCCDと深く関与していることが窺える。よって、年齢に応じた健康診断にCCDの診断基準を盛り込むことは勿論のこと、活動性の低い犬や各種疾患を抱える犬のCCD予防対策を考案することが、彼らの生活の質を維持する鍵になっていると考えられる。

活動性が低い犬がCCDを発症する点は、ヒトの認知症にも通ずることなのかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.nature.com/articles/s41598-022-15837-9


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