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遺伝するラブラドール・レトリバーの前十字靭帯断裂のリスクをチェックする検査

投稿者:武井 昭紘

ある遺伝子学的研究によると、高い人気を誇る大型犬ラブラドール・レトリバーの遺伝子には、前十字靭帯断裂の発症に関与する配列が存在しているという。つまり、一般の動物病院でも比較的良く遭遇するこの整形外科疾患は遺伝すると言えるのだ。とするならば、当該疾患の繁殖計画を見直し、前十字靭帯断裂のリスクが低いラブラドール・レトリバーを増やしていくことが重要だと考えられるのである。

そこで、ウィスコンシン大学は、1000匹を超えるラブラドール・レトリバーの遺伝子を解析し、前十字靭帯断裂のリスクを判定する遺伝子検査を開発する研究を行った。すると、ある一つの変異が遺伝率0.62で、当該疾患の発症に関与していることが判明したという。これを言い換えると、発症リスクの62%が遺伝子、38%が環境によって決定されていることが分かったとのことである。また、本研究では、この遺伝子変異をチェックする検査の精度を98%にまで高めることに成功したそうだ。

上記のことから、ラブラドール・レトリバーが前十字靭帯断裂を発症するリスクは遺伝子検査で判定できると言えるだろう。よって、今後、同検査が商業化され、リスクのある個体の特定と適正な飼育管理が、そして、その個体を繁殖に参加させないことで「前十字靭帯断裂のリスクから解放された」個体を増やすことが実現できる未来が訪れることに期待している。

他の犬種にも同遺伝子検査が転用できるかについて研究が進むことも期待しています。

 

参考ページ:

https://mrcvs.co.uk/en/news/21841/Genetic-test-identifies-dogs’-risk-of-cruciate-ligament-damage


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