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動物によるヒトの咬傷事故の疫学を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

発症した場合の死亡率が100%に近くに達する狂犬病が日常にある国では、動物にヒトが咬まれる事故は、公衆衛生上の大きな問題として認識されている。そのため、その咬傷事故に関する疫学を把握することは、狂犬病を拡大させないためにも、ヒトや動物の命を守るためにも重要なことなのである。

冒頭のような背景の中、インドの大学らは、首都デリーでヒトの狂犬病に対応する病院を対象にして、過去9年分(2010年~2018年)の診療記録を解析する研究を行った。すると、事故の約94%は犬によるものが原因であることが判明したという。また、症例数は調査対象期間当初から増加傾向にあって2014年にピークを迎えたこと、事故は4月に多いことが確認されたとのことである。

何故、咬傷事故は2010年から増加し、2014年に最も多かったのか(それ以降ピークを過ぎたのか)。そして、4月に多いことには理由があるのか。今後、それらの謎を解明する研究が進み、事故を減らす方法、つまり犬に咬まれないようにする方法が明らかになることを願っている。加えて、その咬まれない方法が、動物病院での咬傷事故の防止にも役立てられることを期待している。

春の次に咬傷事故が多い季節は秋だとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35360778/


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