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新型コロナウイルスを検出するPCR・抗原検査と犬の嗅覚を比較した研究

投稿者:武井 昭紘

ヒトの肺癌、乳がん、マラリア感染症、てんかん、そして、犬の移行上皮癌。犬は、実に様々な病気の匂いを嗅ぎ分けることができる。そのため、彼らは、ここ数年に渡ってパンデミックの状態にある新型コロナウイルス感染症も嗅ぎ分けられるのではないかと期待されている。では実際のところ、その精度は、どれ程のものなのだろうか。一般的に利用されている①PCR検査や②抗原検査に匹敵するくらいなのだろうか。

冒頭のような背景の中、フランスの大学らは、検査センターでヒト330名以上から採取された鼻咽頭スワブ、唾液、汗のサンプルを対象にして、犬の嗅覚と①②の精度を比較する研究を行った。すると、①で陽性と判定されたサンプルにおいて、犬の嗅覚は感度97%および特異度91%の精度を誇ることが判明したという。また、症状を認めないヒトのサンプルに限定すると、その精度は更に上がり、感度100%および特異度94%になることが分かった。そして、②と比較すると、彼らの嗅覚の感度は高く、特異度が低いことが確認されたとのことである。

上記のことから、嗅覚による判定スピードが①②よりも遥かに速いことを考慮すると、犬による新型コロナウイルスの検査は非常に有用だと言える。よって、今後、保護センターなどで暮らす身寄りの無い犬を訓練して、無料PCR検査所や医療施設などに配備するシステムが構築され、自治体が掲げる殺処分ゼロと医療現場を悩ませる新型コロナウイルス検査キットの不足が同時に解決される未来が訪れることを願っている。

嗅ぎ分ける訓練と最終試験合格までに、3~6週程度を要するとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35648737/


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