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四肢のうち2本を切断した犬猫のオーナーの満足度を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

四肢を切断する。
それは、犬猫のオーナーにとって、非常にインパクト(ショック)が強い治療法である。しかも、四肢のうち2本も切断となれば、そのインパクトは倍以上に跳ね上がるだろう。しかし、「切断をする」代わりに、四肢を温存するとなれば高度な技術が必要で、安楽死を決断するとなれば切断以上の喪失感や虚無感に苛まれる可能性が否定できない。では果たして、断脚術を受けた犬猫のオーナーは実際、その現実に満足しているのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、アメリカの大学およびイタリアの動物病院らは、二肢の切断術を受けた犬猫18匹の診療記録を解析するとともに、彼らのオーナーにアンケートを依頼する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆四肢のうち2本を切断した犬猫のオーナーの満足度◆
・二肢の切断術を受けた理由で最も一般的なものは外傷であった(約67%)
・完全な肢の切断と部分的な肢の切断をした症例は共に50%であった
・症例の約61%が同時に二肢を失った
・症例の約67%は両後肢を失っていた
・症例の約22%は両前肢を失っていた
・症例の約11%は前肢と対側の後肢を1本ずつ失っていた
・症例の約17%に合併症が起きた
・症例の約11%が再手術を受けた
・約78%のオーナーが非常に満足していた
・約17%のオーナーがやや満足していた
・約5%のオーナーは大きな不満を抱えていた

 

上記のことから、二肢の切断術は、合併症のリスクが少なく、多くのオーナーが満足する治療法であると言える。つまり、安楽死と天秤にかける、または、安楽死よりも優先するべき手段だと考えられるのだ。しかし一方で、不満を抱えているオーナーが居ることも忘れてはならない。「二肢を失うこと」に対しての満足と不満は、どのような要因で分かれているのだろうか。今後、その要因を特定し、限りなく100%に近いオーナーが満足する切断術が追求されていくことに期待している。

フォローアップされた期間の中央値は450日(最長で4380日)だったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35333746/


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