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全身麻酔をかけられた犬の角膜の損傷を予防する方法について考えた研究

投稿者:武井 昭紘

全身麻酔をかけた犬の管理において、気を付けるべきポイントの一つに「角膜の保護」がある。これは、麻酔前投与薬や麻酔薬の影響で涙の量が減少したり、麻酔下にある動物の眼が開いていると角膜が乾燥し、損傷を生じるためだ。そこで、疑問が浮かぶ。角膜の保護する方法として、ベター(あるいはベスト)なものとは一体何であろうか。

冒頭のような背景の中、イギリスの大学および動物病院らは、MRI検査を受けるために全身麻酔をかけた犬100匹(合計で200個の眼)を対象にして、2つの角膜保護の方法を比較する研究を行った。なお、その2つとは①潤滑剤のみを点眼する方法と②潤滑剤を点眼した後に医療用テープで閉眼する方法であり、同研究では、供試犬の片方の眼に①を、もう片方の眼に②を適応している。また、角膜の損傷については、びらん又は潰瘍の有無によって判定されている。すると、シルマーティアテストで涙量の減少が読み取れて、且つ、8%の眼にびらんが生じたものの、潰瘍は確認できず、両群間の損傷の発生率に有意差は認められなかったという。加えて、「テープで閉眼すること」のデメリットも無かったとのことである。

上記のことから、①と②の角膜保護効果は同程度で、一定の割合でびらんが生じてしまうことが窺える。よって、今後、びらんを起こさせない角膜保護の手法を考案する研究が進み、麻酔後の眼のトラブルがゼロになる未来が訪れることを期待している。

①と②が判別できない状態で、麻酔の前後の眼科検査は実施されたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35512022/


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