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狂犬病ウイルスに感染したマウスの病状を安定させるモノクローナル抗体

投稿者:武井 昭紘

発症すれば100%死亡する。成書によると、アフリカやアジアを中心に年間60000人の命を奪う狂犬病は、医学的にも獣医学的にも極めて重要、且つ、危険な致死的感染症だとされている。しかし、一部の専門家によれば、ミルウォーキープロトコルのような治療法が存在することから、それ(死亡する確率が100%という言い回し)は不正確な表現になるのだ。果たして、真偽の程はどうなのだろうか。狂犬病は治らない病気なのだろうか。あるいは、治せる病気なのだろうか。おそらく今、世界中で、後者だと主張する研究の発表が待たれている。

冒頭のような背景の中、世界の大学および研究所らは、F11と称したモノクローナル抗体を狂犬病ウイルスが感染したマウスに単回投与し、彼らの経過を追跡するとともに、病理学的にも解析する研究を行った。すると、感染に起因すると思われる症状は解消し、少なくとも4ヶ月間は状態が安定することが判明したという。しかし一方で、感染個体の脳からウイルスが完全に排除されないことが確認されたとのことである。

上記のことから、同研究で使用されたモノクローナル抗体は狂犬病を「治療」する薬剤になり得ると言える。よって、今後、マウス以外の犬、猫、ヒトの感染例などで臨床試験が実施され、その有効性が証明されることを願っている。また、脳からウイルスが排除されないことのデメリット(再発、後遺症など)についても研究され、抗体医薬と併用する治療法の開発も進むことを期待している。

大学らは、狂犬病が蔓延している発展途上国の現状を鑑みて、最小限の医療設備で、費用対効果が高く、投与が容易な治療法が必要だと述べています。今回紹介したモノクローナル抗体が「それら」に該当するように改良されていくことを期待します。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37767784/


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