肉眼でも視認できる大きなダニ、マダニは犬に寄生し、その近くに居るヒトに健康被害を齎すことがある。そのため、犬のマダニ予防は彼らのたにもヒトのためにも重要だとされているのだ。そして、犬がマダニに寄生される確率を把握し、そのリスクファクターから防疫対策をアップデートしていくことも大切なのである。
冒頭のような背景の中、王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)は、大規模臨床データベースVetCompassに登録されている犬90万匹以上の診療記録からランダムに抽出されたマダニ寄生例のデータを解析する研究を行った。なお、同研究では2016年時点で登録されている個体を対象としており、彼らの診療記録を5年間追跡(2014年〜2018年分)している。すると、1900件以上の寄生例が確認され、以下に示す事項が明らかになったという。
◆マダニに感染する犬の特徴◆
・寄生される確率(有病率)は約2%であった
・最もリスクが高い品種はケアンテリアであった(約2.9倍)
・次いでスタンダードプードルが続いた(2.8倍)
・デザイナードックのリスクも高かった(全体で約1.8倍、ゴールデンドゥードルで約2.6倍)
・スタッフォードシャーブルテリア (0.35倍)、ロットワイラー(0.35倍)、チワワ(0.38倍)でリスクが低かった
・オス犬でリスクが高かった(約1.2倍)
・中毛種でリスクが高かった(2.2倍)
上記のことから、マダニに寄生されるリスクが高い犬には特徴があることが窺える。よって、条件に合致する犬がマダニ予防をしていない場合は、ヒトの死亡例が報告されているSFTSの脅威についても説明し、その予防を推奨することが望ましいと思われる。

本研究では、立ち耳の犬に比べて垂れ耳の犬のリスクが高いことも判明しております。
参考ページ:
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jsap.13727