ニュース

低用量のトリロスタンで治療されたクッシング症候群の犬の生存期間を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

副腎皮質ホルモンの合成を抑制する効果を有するトリロスタンは、犬の副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の治療に利用される代表的な薬剤で、低用量で1日2回投与する形が当該疾患に効果的であるとされている。しかし、この低用量のトリロスタン療法を受けた罹患犬の生存期間と予後に関する情報は充分とは言えず、これからの獣医学が取り組むべき課題となっている。

そこで、スペインの大学および動物病院らは、0.2〜1.1mg/kgの用量でトリロスタンを1日2回投与された、下垂体依存性副腎皮質機能亢進症(pituitary-dependent hyperadrenocorticism、PDH)の犬90匹以上を対象して、彼らの診療記録を分析する研究を行った。すると、生存期間の中央値は998日で、年齢(約1.3倍)、皮膚の石灰沈着(約5.3倍)、9段階のBCSで3以下(8.1倍)、血小板数の上昇(1倍強)が生存期間を短くすることが判明したという。

上記のことから、低用量のトリロスタン療法における生存期間は、無治療(506日)あるいは高用量のトリロスタン療法(532~930日)の場合よりも長いことが分かる。よって、今後、前述した生存期間を短くするファクター(年齢を除く)を防止する治療法が考案され、更に生存期間を延ばす試みがなされることに期待している。

収縮期血圧は生存期間を左右しなかったとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35460587/


コメントする