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椎間板ヘルニアの手術に臨んだ犬が受けた早期のハイドロセラピーと術後合併症

投稿者:武井 昭紘

椎間板ヘルニアの手術を受けた犬には、術後の回復をサポートするために、リハビリテーションが適応される場合がある。そして、その一つの選択肢がハイドロセラピーだ。しかし、このハイドロセラピーを適応するベストなタイミングに関するガイドラインは存在しない。果たして、術後「何日後」・「何週間後」が適しているのか。あるいは、術後「何日以内」のハイドロセラピーには、①合併症や②手術部位感染のリスクが潜んでいるのか。それらを明らかにすることは、小動物臨床におけるリハビリテーションの技術を向上させる上で、大変に重要なことである。

冒頭のような背景の中、王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)およびヨーロッパの動物病院らは、胸腰椎の椎間板ヘルニアに対する手術を受け、且つ、術後5日以内にハイドロセラピーを実施した犬80匹以上を対象にして、彼らの診療記録を解析する研究を行った。すると、30%以上(26匹)の犬で①が、1匹の犬で②が確認されたという。

これを受け、大学らは、術後早期のハイドロセラピーが①を引き起こした可能性は否定できず、②は同療法の影響を受けた可能性があると結論付けた。よって、今後、ハイドロセラピーを開始するベストタイミングを決める研究が進むとともに、①および②を起こさないハイドロセラピーの考案がなされることに期待している。

本研究では、ハイドロセラピー後に神経症状が悪化した症例も1件確認されているとのことです。

 

参考ページ:

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jsap.13412


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