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去勢手術を受けたウサギ2品種が感じている痛みの評価と消炎鎮痛薬の効果

投稿者:武井 昭紘

多岐に渡る外科手術のあれこれと比べれば「軽度」とされているが、去勢手術においても痛みが発生することが知られている。そのため、動物福祉の観点から、この痛みを軽減させることが重要だとされているのだ。では一体、最適な疼痛管理とは、どのようなものであるのか。動物種や品種を一つひとつ対象にして、ベストを探る研究を進めることは、獣医学の永遠の課題である。

冒頭のような背景の中、イギリスの大学らは、去勢手術に臨む、ダッチベルテッドおよびニュージーランドホワイトと呼ばれるウサギ2品種の疼痛管理について研究を行った。なお、同研究では、ウサギ専用の「しかめっ面スケール」、rabbit grimace scale (RbtGS) を用いて彼らの感じている痛みが評価されており、術後1時間と5時間の時点での様子が観察されている。すると、術後2地点における疼痛に関連した行動が増えることが判明したという。また、その行動は、①低用量メロキシカム(0.2 mg/kg)よりも、②高用量メロキシカム(0.6 mg/kg)と局所麻酔(リドカイン、ブピバカイン)を組み合わせたプロトコルを使用することで有意に軽減されることが確認されたとのことだ。

上記のことから、①と②を比較した時に、②がベターであることが窺える。よって、今後、上記2品種以外のウサギも対象にした同様の研究が進められ、ウサギの疼痛管理が進化を遂げることに期待している。そして、世界中のウサギが手術に関連した痛みに苦しまない未来が訪れることを願っている。

本研究では、RbtGSはウサギがいつ痛みを感じているのかを決定するための有用な手段であるとも述べられています(今回の研究では術後1時間と5時間)。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.782486/full


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