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犬の卵巣子宮全摘出術の前に行う4種類の手指消毒方法の効果を比較した研究

投稿者:武井 昭紘

手術に臨む獣医師が気を遣うべきこと。その第一は、術野を清潔な状態に保つことである。故に、術者の手指の消毒は、細心の注意を払って「ベスト」な方法で行うことが重要だと考えられる。では一体、ベストな方法とは、どのようなものであろうか。

前述した背景の中、南アフリカ共和国のプレトリア大学は、100名以上の獣医学部生が実施する犬の卵巣子宮全摘出術140件を対象にして、4種類の手指消毒方法の効果を比較する研究を行った。なお、4種類の方法とは、①グルコン酸クロルヘキシジンによる消毒に続いてアルコールで手指を消毒する方法、②塩化ベンザルコニウム/ビグアニド塩酸塩に続いてアルコールで手指を消毒する方法、③中性石鹸による手洗いに続いてアルコールで手指を消毒する方法、④アルコールで手指を消毒する方法である。また、同研究では、手指から採取したサンプルを寒天培地に塗布して、そこに形成されたコロニー(Colony-forming unit、CFU)を数えることで効果が判定されている。すると、④よりも①②③においてCFUが有意に低く、特に③で顕著に減少することが判明したという。

上記のことから、③が最も有用な手指消毒方法であることが窺える。よって、卵巣子宮全摘出術の執刀を控える獣医師、特に、初めて「それ」を経験する術式に自信が持てない新人獣医師は、アルコールによる手指の消毒の前に、中性石鹸で手洗いをすることが望ましいと思われる。

中性石鹸は特段、医療用に製品化されたものではないとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35192206/


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