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肥満の犬の代謝機能に対するβグルカンの効果を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

肥満は、一般家庭で飼育されている犬や猫にみられる「栄養障害」の一つで、糖尿病や甲状腺機能低下症など代謝性疾患が併発してしまうリスクを孕んだ病気として知られている。そのため、これらのトラブルを防止する目的で、減量(ダイエット)が推奨されている。しかし、この減量は全ての症例で順調に達成できるとは限らないのが現状である。つまり、減量が成功する確率を高める治療法の確立が望まれているのだ。

冒頭のような背景の中、サンパウロ大学は、ヒトの内臓脂肪を減らし、免疫機能を高めると言われているβグルカンに着目して、肥満の犬に対する同成分の効果を検証する研究を行った。なお、本研究では、①肥満グループ(7匹、9段階のBCSで8~9)、②βグルカンが添加されたフードを与えられた肥満グループ(①と同じ犬)、③標準体型のグループ(7匹、BCS5)の3つに分けた犬を対象にして、彼らの血液性状が調査されている。すると、①に比較して②では、有意に血糖値およびTNF-α(脂肪細胞から分泌される)が低く、コレステロールおよびトリグリセリドも低値であることが判明したという。また、①に比較して②では、膵臓に働きかけて血糖値を下げるGLP-1が有意に増加していることが認められたとのことである。

上記のことから、βグルカンは、肥満の犬の脂質代謝を改善し、血糖値を下げる効果を持つことが窺える。よって、今後、フードに添加するβグルカンの適正量を設定し、また、減量プログラムで選択できるフードの種類(βグルカンを添加することで選択の幅が広がると良いかも知れない)を考える研究が進み、肥満犬に対するβグルカン療法が確立されることを期待している。

②に属する犬は、βグルカンが添加されたフードを90日間給餌されております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34980115/


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