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犬に感染したフィラリアを早期に検出する方法について挑戦した研究

投稿者:武井 昭紘

犬がフィラリアに感染しているか否か。それは、感染子虫が蚊から犬に移って6ヶ月目にして、やっと判明する事実である。オーナーの立場から考えても、診察を担当する獣医師という立場から見ても、これは非常に遅いと言える。もっと早期に感染の事実を把握することはできないものだろうか。

冒頭のような背景の中、アメリカの獣医科大学らは、動物の血液中に含まれ、且つ、様々な疾患の診断マーカーとして有望視されているマイクロRNA(miRNA)に着目して、フィラリアに実験的に感染した犬の血液サンプルを用いたPCR検査を実施する研究を行った。なお、同研究では、フィラリアの感染に関連していると思われる診断マーカー候補のmiRNAがターゲットとなっており、感染日から4週間ごと、7ヶ月に渡って検査が実施されている。すると、24週目(感染から6ヶ月目)にmiRNAが検出可能になり、検査に一貫性が認められるようになるのは28週目に至ってからということが判明したという。

上記のことから、miRNA(PCR検査)であっても感染から6ヶ月以上経過しないと、その事実が把握できないことが窺える。よって、今後、本研究で対象となったmiRNA以外に早期診断マーカー候補になるmiRNAを探す研究が進み、フィラリア検査が新たなステージに上がることを期待している。

本研究では、感染から20週目にフィラリア抗原検査が陽性(抗原を熱処理している)、28週目にミクロフィラリアの検査(ギムザ染色した血液塗沫)が陽性になることが分かっております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38872227/


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