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チェリーアイの発症リスクが高い犬種を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

チェリーアイは、犬の内眼角付近から瞬膜腺が脱出する現象で、オーナーがピンク色の腫瘤が突然発生したと見紛うほどにインパクトのある眼科疾患である。また、当該疾患は、ドライアイ、結膜炎、角膜潰瘍などの合併症を引き起こす可能性があり、必要に応じて外科手術も適応される病気として知られている。つまり、チェリーアイになりやすい犬の特徴を把握し、それを当該疾患の治療や予防、引いては、購入する犬の品種の検討に活かすことが重要だと言えるのだ。

 

そこで、王立獣医科大学は、大規模臨床データベースVetCompassを用いて、チェリーアイになりやすい犬の特徴を特定する研究を行った。なお、同研究では90万匹以上の診療記録が解析され、以下に示す事項が判明したという。

◆チェリーアイの発症リスクが高い犬種を調べた研究◆
・有病率は0.2%であった(約1800匹)
・中頭種と比べて短頭種は約7倍、チェリーアイになりやすい
・交雑種と比べて純血種は1.4倍、チェリーアイになりやすい
・2~4歳未満の個体と比べて1歳未満の個体は約11倍、チェリーアイになりやすい
・有病率が特に高い純血種はナポリタンマスティフおよびイングリッシュブルドッグ(約5%)、ラサアプソおよびアメリカンコッカースパニエル(約1.5%)であった
・交雑種ではパグ×ビーグルで約2%、ジャックラッセルテリア×パグで1.2%であった
・チェリーアイの発症リスクが低い犬種はジャーマンシェパードドッグ、ウエストハイランドホワイトテリアなどであった

 

上記のことから、子犬、短頭種、純血種(特に上記の種)がチェリーアイになりやすいことが分かる。よって、該当する犬を飼育するオーナーには、チェリーアイに関するインフォームド・コンセントを行い、その病気に気が付いた時には、早めに来院するように指示をすることが望ましいと思われる。また、子犬がチェリーアイを発症しやすい理由について研究が進み、予防法が考案されることを期待している。

有病率が高い各犬種のオッズ比は、リンク先をご参照下さい。

 

参考ページ:

https://www.rvc.ac.uk/vetcompass/news/new-research-unveils-the-extent-of-painful-eye-condition-in-dogs-and-the-breeds-at-most-risk


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