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様々な犬の尿路疾患と尿中フィブリノゲンおよびIL-6濃度の関連性を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

尿検査は、他の検査と比較して侵襲度が低い検査である。とりわけ自然排尿に限れば、獣医師や動物看護師の資格がなくとも(ペットのオーナーであっても)サンプル採取が可能な程に、簡便で低侵襲なのだ。そのため、尿検査で生体内の病的変化を把握することは、医学的にも獣医学的にも大変重要であるとされている。つまり、この検査の可能性、ひいては尿中に含まれる成分の臨床的意義に関する見解を拡げることが、医療を発展させる上での大きな課題なのだ。

冒頭のような背景の中、アメリカの獣医科大学らは、細菌尿を呈するリスクのある尿路系疾患を抱えた犬と①臨床上健康な犬を対象にして、彼らの尿中フィブリノゲン濃度(urine concentrations of fibrinogen、uFIB)およびインターロイキン-6濃度(urine interleukin-6、uIL-6)を測定する研究を行った。なお、細菌尿を呈するリスクのある尿路系疾患として、②結石症、③下部尿路の解剖学的異常、④下部尿路に発生した腫瘍が採用されている。すると、②④のuFIBと尿クレアチニンの比は①よりも有意に大きく、②③④のuIL-6と尿クレアチニンの比は①よりも有意に大きいことが判明したという。

上記のことから、細菌尿を呈するリスクのある尿路系疾患では、uFIBとuIL-6の数値が上昇していることが窺える。では果たして、これらの変動は何を意味しているのか。そして、両成分の役割とは一体なにか。それを明らかにする研究が進められていくことに期待している。

本研究における細菌尿は、腸球菌によるものを想定しているとのことです。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/ajvr.82.10.846


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