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膿胸を呈した猫の臨床検査所見と経過について纏めた研究

投稿者:武井 昭紘

呼吸が苦しそうな猫が運ばれてきた。肺音も異常で、口で呼吸している。X線検査で胸水を確認。CBCでは白血球数の増加を認める。膿胸かも知れない。治療には抗生剤が必須か。それと・・・。胸腔に排膿をするためのチューブの設置は必要だろうか。

 

そのような中、マレーシア・プトラ大学の研究を見付ける。過去7年間において蓄積された膿胸の猫の診療記録を解析したらしい。詳細は以下の通りだった。

◆膿胸を呈した猫の臨床検査所見と経過◆
・症例は4ヶ月齢~10歳齢であった(中央値10ヶ月齢)
・呼吸困難と異常な肺音は75%、開口呼吸は約64%の症例に認められた
・白血球増加症が約62%、単球増加症が68%、高グロブリン血症が約65%の症例に認められた
・X線検査では約68%の症例に両側性の胸水が認められた
・全例で細菌培養が陽性であった(細胞診で細菌を検出できたのは約47%の症例)
・パスツレラ属、大腸菌、ストレプトコッカス属、スタフィロコッカス属が主に検出された
・アモキシシリンクラブラン酸が選択されていることが多かった
・約46%の症例が回復した
・胸腔にチューブを設置した症例に限ると約67%の症例が生き残った

 

上記のことから、細菌感染の有無の判断は細菌培養が望ましいと思われる。また、胸腔にチューブを設置することが生存確率を高めることに繋がると言えるだろう。培養の結果が出るまでは、アモキシシリンクラブラン酸を使用するか。治療方針は決まった。あとは実行するのみだ。

『アモキシシリンクラブラン酸は、嫌気性菌に効果を発揮する抗生剤と組み合わせることが必要である』と大学は述べています。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34438744/


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