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北米で増え続ける肥満の犬や猫を飼育するオーナーの意識2021版

投稿者:武井 昭紘

過去10年間において、犬で108%増、猫で114%増。現在、北米では、肥満と診断される犬猫の割合が増えている。2011年の時点で犬の16%、猫の18%が肥満症例であったものが2020年時点でそれぞれ34%、38%に急増してしまったのだ。また、2020年の3月から12月の経過を見ると、肥満と診断された犬は更に2.3%も増えたとのことで、これは最も速い上昇スピードだという。「肥満は病気である」。近年、そう認識されるようになってきた。では、北米で飼育されている犬猫たちは、何故この病気になってしまうのか。その理由の一端を調べた結果が、アメリカに1000件以上の動物病院を抱えるBanfield Pet Hospitalより発表された。なお、詳細は以下の通りである。

 

◆北米で増え続ける肥満の犬や猫を飼育するオーナーの意識◆
・全米に渡って1000名のペットオーナーに聴取をした
・肥満の犬猫を飼育するオーナーの90%以上が適切な体重管理に支障がでる理由を持っていた
・その約半数は「食べ物を欲しがった時に与えてしまうこと」であった
・また約30%は「効果的な減量方法を知らない」であったり、「運動させる時間が無い」と主張をした
・そして約4分の1(23%)は「ペットの食餌管理に気を配っていない」と述べた

 

上記のような結果ではあるものの、95%のオーナーは愛犬・愛猫の肥満について、健康上のリスクを感じていたという。しかし、約40%のオーナーは、体重管理の話題を避けるかのように動物病院での診察のタイミングを遅らせているそうだ。つまり、多くのオーナーが耳の痛い話を聴きたくないと思っているのだろう。犬猫の体重管理を適正なものにするために、我々動物病院スタッフは何をすべきだろうか。直接対面で体重管理について話したくないと思っているオーナーに、どう伝えるべきだろうか。ダイレクトメールか、動物病院のホームページか、SNSか、セミナーか。対面ではない最善の方法とは。今後、そのベストな手段を模索する研究が各国の事情に合わせて進んでいくことに期待している。

肥満の犬猫が増えていることに同意したオーナーは約90%であったとのことです。つまり、10人に1人は、その増加すら認めていないのです。彼らに「犬猫の肥満問題」を認識してもらうには。これも獣医学の課題ではないでしょうか。

 

参考ページ:

https://www.banfield.com/about-banfield/newsroom/press-releases/2021/new-data-reveals-pet-obesity-epidemic-existed-long-before-quarantine


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