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糖尿病になるリスクが高いバーミーズの代謝機能を解析した研究

投稿者:武井 昭紘

ヒトの2型糖尿病に類似している猫の糖尿病は、ある特定の品種、例えばミャンマー原産のバーミーズで起きやすいとされている。この「起きやすさ」を数値にすると、他の純血種の実に5倍。そこで、一つの疑問が浮かんでくる。

---『何故、ここまで高いのだろうか?』---

それを明らかにすることは、猫の糖尿病をより深く理解するキッカケになると思われる。

 

冒頭のような背景の中、スウェーデンの大学らは、①バーミーズのメタボローム解析を、②糖尿病の発症リスクが低~中程度の2品種(メインクーン、バーマン)のそれと比較する研究を行った。すると、①と②の間で、21種類の代謝産物のレベルが異なっていることが判明したという(体重やBCSによる補正後で15種類)。なお、その一部を例として挙げると、2-ヒドロキシ酪酸の濃度は②よりも①で高く、2-オキソイソカプロン酸およびチロシンの濃度はメインクーンよりも②で高く、ジメチルグリシンの濃度は低いといった様相だとのことだ。また、バーマンはバーミーズとメインクーンと比べて、クレアチニンが高く、タウリンが低いことも分かったそうだ。

 

上記のことから、比較検討した3品種の代謝プロファイルには相違点が存在していることが窺える。よって、今後、その「違い」を詳細に分析する研究が計画され、糖尿病の発症リスクに関連するファクターが特定されていくことを期待している。そして、それを基に、新しい治療法が考案されることを願っている。

バーミーズの代謝プロファイルは、インスリン抵抗性のヒトが持つパターンに似ているとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33886598/


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