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自然気胸を起こした犬に対する胸腔鏡手術の有用性を調べるトライアル

投稿者:武井 昭紘

近年、日本を含めて世界各地の動物医療において、開腹手術を要しない腹腔鏡手術が盛んに実施されるようになった。その理由は何と言っても、侵襲性の低さであろう。であるならば、一つの疑問が頭に浮かぶ獣医師も少なくないものと推察する。腹腔鏡を用いた手術が可能であるならば、胸腔鏡を用いた手術(胸腔鏡手術)も出来るのではないだろうか。例えば、自然気胸。開胸手術が基本の当該疾患に胸腔鏡を適応すれば、低侵襲の治療が実現するのではないだろうか。

そのような背景の中、ノースカロライナ州立大学は、自然気胸を発症した犬を対象に、胸腔鏡手術の有用性を検証するトライアルを展開している。なお、同トライアルでは、CT検査を経て、まず①胸腔鏡で病変部の探索を行い、その後、②開胸下での探索が実施され、①と②の一致性を確認するとのことである。

 

両者で発見された病変部が完全に一致すれば、胸腔鏡手術による自然気胸の治療は有用だと言える。果たして、胸腔鏡で精度の高い(そして侵襲性の低い)手術は実現可能か。あるいは、見落としのリスクが否定できないか。今回紹介したトライアルが一定の成果を上げ、将来的に、自然気胸に対する胸腔鏡手術が普及していくことを期待している。

症例に①と②をそれぞれ適応することには、再発のリスクを最小限に抑えるという意図もあるとのことです。

 

参考ページ:

https://drive.google.com/file/d/14XMbHVUBBWDiV9guzGStKiPYW90U6Ne1/view


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