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外耳炎を起こしている犬を特定できる遺伝子学的耳垢検査

投稿者:武井 昭紘

犬の外耳炎を治療する方法の一つに、外耳道の洗浄というものがある。そして、この手法の目的は、炎症の引き金になっている耳垢を除去することにある。しかし、耳垢は、健康な犬の外耳道にも存在している。①外耳炎を起こした犬の耳垢、②健康な犬の耳垢。果たして、何が違うのだろうか。それを明らかにすることは、外耳炎治療を進化させる起爆剤になるのかも知れない。

そのような背景の中、ヨーロッパの獣医科大学らは、①および②に含まれるマイクロRNA(miRNA)について解析する研究を行った。すると、両者間において、30種以上のmiRNAの発現に差異があることが判明し、そのうちの約44%はアップレギュレート、約56%はダウンレギュレートしていることが確認されたとのことである。加えて、検出されたmiRNAから、外耳炎の診断に利用できる4つのバイオマーカー候補を発見することに成功したという。

上記のことから、①と②は、遺伝子学的に異なっていることが窺える。よって、今後、本研究を基にした「遺伝子学的耳垢検査」が確立されることを期待する。そして、この違いが、犬に外耳炎を齎す(あるいは悪化させる)耳垢の性状を詳らかし、新たな治療法を考案するキッカケになることを願っている。

仮定の話ですが、今回発見されたmiRNAの発現を制御することで耳垢の量をコントロールすることが叶えば、一生涯、外耳道の洗浄をしなくて済む未来が訪れるかも知れません。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32547539/


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