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頚静脈採血をされる猫のストレスを減らす局所麻酔薬クリーム

投稿者:武井 昭紘

『どうか終わるまで、大人しくしていて欲しい。』

犬の時よりも強く、そう願って、猫たちの採血やその保定に臨んでいる獣医師・動物看護師は多いのではないだろうか。また、彼らの抵抗を最少限に減らす良いアイデアはないものかと、日々試行錯誤を繰り返している方も少なくないと推察する。果たして、答えは、何処にあるのか。筆者も知りたいところである。そこで、本稿では、イタリアの中部、アドリア海に面したテラモに位置する獣医科大学が発表した研究を紹介したい。

 

なお、同大学によると、詳細は以下の通りである。

◆猫の頚静脈採血◆
・採血の30分前、注射針を刺入する部位にEMLAクリームを塗布した
・EMLAクリームとは、リドカインとプリロカインを配合している局所麻酔薬である
・手技に慣れているヒトが採血を行った
・頚静脈採血されている猫のストレスをスコア化して評価した
・採血を行ったヒトが、手技が「簡単」だったか「困難」だったかを評価した
・対照群(9匹)と比べて、EMLAクリーム塗布群(9匹)のストレススコアが有意に低下した
・頚静脈採血を嫌がる猫は、対照群で7匹、EMLAクリーム塗布群で1匹であった
・採血が「簡単」だった猫は、対照群で1匹、EMLAクリーム塗布群で8匹であった

 

上記のことから、EMLAクリームは、頚静脈採血の際に猫が受けるストレスを軽減し、採血手技を簡単にする効果を持っていることが窺える。よって、採血の度に猫と格闘をしている獣医師・動物看護師は、ストレスの少ない診療を実現するために、EMLAクリームを導入してみると良いかも知れない。

対照群の猫には、流動パラフィンが塗られたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32456515/


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