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慢性腎不全の犬における胃内pHの変動を観察するためのトライアル

投稿者:武井 昭紘

『慢性腎不全に罹患した動物には、制酸剤が効く。』

この事実には、実感を伴って同意してくれる獣医師と、懐疑心を持って首を傾げる獣医師、その何れもが居る。そのうち、筆者を含めて同意をする獣医師、つまり、慢性腎不全(Chronic Kidney Disease、CKD)の症例に対して制酸剤を使い、効能を得たことのある獣医師の多くは、おそらく、『CKDを患った個体では胃酸過多が起きている』と考えているものと推察する。しかし、一方で、首を傾げる獣医師は、この病的現象に疑問符を抱き、制酸剤の使用に秘められた臨床的意義を認められないでいるのが現状なのだ。

果たして、真実は、一体どこに存在しているのか?
これは、獣医学が抱える、ミステリーの一つである—–。

 

そこで、ノースカロライナ州立大学は、このミステリーに挑むが如く、CKDの犬の胃内pHを記録に残すトライアルを開始した。なお、同トライアルでは、CKD、特にIRISステージIIIまたはIVに分類される症例が募集されており、彼らの胃内にpHを測るカプセル型の装置を入れ、48時間におけるpHの変動をモニタリングするとのことである。

 

ノースカロライナ州立大学は、述べる。
『このトライアルで、制酸剤を使用することの正当性を評価する』と。

読者の皆様は、どのように結果を予想するだろうか。ついでながら、筆者は、CKDの犬たちが感じているかも知れない胃の違和感・気持ち悪さが、少しでも楽になるような成果が上がってくることに一票を投じたい。

直近の7日間に、制酸剤、NSAIDs、ステロイド、抗生剤など、胃内pHを変動させる薬剤を投与された症例は、対象から外れるとのことです。

 

参考ページ:

https://drive.google.com/file/d/1Kl_VVf3JdPuThR7NlVr7nUgQxVj4yGoW/view


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