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犬の胆嚢疾患に対する低脂肪食の効果を明らかにするためのトライアル

投稿者:武井 昭紘

犬の胆嚢粘液嚢腫は、ムチンが貯留することで胆嚢内容物の粘稠性が過度に増加した胆泥症から進行する消化器疾患であり、嘔吐、食欲不振、黄疸、胆嚢炎、腹膜炎を起し、重症の場合は致死的経過を辿る病気である。また、一部の獣医師の意見を参考にすると、胆嚢粘液嚢腫は、食餌に含まれる脂肪分の多少あるいは個体が持つ脂質代謝能力に依存して発症すると言われている。しかし、実際のところ、当該疾患の病態メカニズムは詳しく分かっておらず、食餌や代謝機能と当該疾患の関連性も、全容は解明されていない。

そこで、ノースカロライナ大学は、大手ペットフードメーカーであるロイヤルカナン社の低脂肪食(Gastrointestinal Low Fat dry)と、ビタミンおよびアミノ酸を配合したサプリメントを胆泥症の犬に給与し、経過を観察するトライアルを進めることを発表した。なお、症例募集の要件は、以下の通りである。

◆トライアルに参加できる症例◆
・胆泥症と診断されている
・胆泥が占拠している胆嚢内腔の割合が30%未満であること
・胆管閉塞または胆嚢破裂を疑う所見がないこと

 

今回紹介したトライアルが一定の成果を上げれば、犬の胆泥症・胆嚢粘液嚢腫の病態進行を喰いとめる治療法が確立するかも知れない。よって、今後の進展に期待するとともに、同トライアルに用いられたサプリメントが製品化され、世界へ普及していくことを願っている。

サプリメントの投与は、最長で1年間実施されるとのことです。

 

参考ページ:

https://drive.google.com/file/d/1-r8IbAelPYmMTi4zdzqA_NgnY4tyYnpv/view


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