ニュース

犬のデンタルケアに対するオーナーの意識を調査した研究

投稿者:武井 昭紘

歯磨きや食事管理などを含むデンタルケアにて予防することが可能であると添えるが、小動物臨床では、7歳以上の犬の70%以上に歯周病が起きていると言われている。つまり、この歯周病は、極々一般的に犬が罹る病気の一つになってしまっているのだ。

歯周病。
それは、予防できるものなのに、一般的な病気。

一体、ここに、どのような課題(見えない障壁)があるのだろうか—–。

 

このように考えたスウェーデン農業科学大学らが、歯周病を予防するために必要な戦略を練るために、20万人以上のオーナーを対象にして、デンタルケアに対する意識度を評価するアンケート調査を実施した。すると、以下に示す事項が明らかになったとのことである。

◆オーナーのデンタルケアに対する意識◆
・飼育している犬種によってデンタルケアへの積極性が変動する
・女性のオーナーは積極的にデンタルケアに取り組む
・医療関係者は積極的にデンタルケアに取り組む
・大学卒業レベルの教育を受けたオーナーは消極的になる
・不妊手術を受けていないメスを飼育している世帯は消極的である
・働いている人(学生・退職者以外)は消極的である
・10kg以上の犬を飼育している世帯では意識が弱まる
・ブリーダーは消極的である

 

上記のことから、学歴、職業、飼っている犬の種類など、様々な要因によって、デンタルケアに対する意識が積極的、あるいは、消極的になることが窺える。よって、担当する症例のオーナーにデンタルケアの重要性を訴えたい獣医師は、今回紹介した調査の結果を参考にして「戦略」を立ててみると、理想的な歯科診療が実現できるのではないかと思われる。

日本でも同様の調査が行われ、ペットのデンタルケアへの意識が高まるインフォームド・コンセントが考案されていくことに期待しております。

 

参考ページ:

https://bmcvetres.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12917-020-02281-y


コメントする