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犬におけるストレスとタンパク尿の関連性について検証した研究

投稿者:武井 昭紘

獣医師国家試験にも出題される程に重要なことであるため、敢えて言うまでもないが、尿サンプルからタンパク質が検出された場合、それが生理現象であるか病的現象であるかについて、主訴や臨床検査の結果を総合して判断していくことが通例とされている。そして、この際、時折耳にすることがある一説が、ストレスとタンパク尿との関連性である。つまり、「何らかのストレスを感じている動物の尿中にはタンパク質が出現する」というのだ。

 

そうであるならば、一つの疑問が頭に浮かんでくる。
果たして、動物病院を訪れること自体がストレスになっているペットの尿にはタンパク質が含まれているのか—–?

 

ここに、ある結論を出した研究が発表された。

なお、同発表を行ったペンシルバニア大学らによると、臨床上健康な犬36匹の2つの尿(①自宅で採取したサンプルと②院内で採取したサンプル)を用いて、尿コルチゾール/クレアチニン比(urine cortisol:creatinine ratios、UCCr)および尿タンパク/クレアチニン比(urine protein:creatinine ratios、UPC)を測定したところ、①と②においてUCCrには有意差が認められたものの、UPCには有意差が確認できなかったとのことである。

上記のことから、動物病院を訪れることがストレスになっている犬の尿サンプルでは、冒頭に記した説を裏付ける結果は得られなかったと言える。よって、今後、その説の真偽を明確にするために、どのようなストレスが掛かると犬の尿中にタンパク質が出現するのかについて検証する研究を進めることが必要だと考えられる。

8匹の犬の尿からタンパク質が検出されておりますが、①と②の間で、有意な差はなかったとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32052904


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